夜風のささやき

言霊 謎 狂気 廃墟 廃人

実はROCKな俺。

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今回は一人称は「俺 」だ。「 僕 」なんてROCK的でない。
さて、俺は実はROCKオジサンである。特に1970年前後の最もROCKがROCK足らしめていた時、俺がまだ中学生の頃からだ。もっとも当時はROCK少年だったが。
影響を受けたものは三つ。

一、映画「ローリングストーンズインギミーシェルター  」を有楽町スバル座で観た。

二、映画「 イージーライダー 」を池袋の文芸座で観た。

三、従兄がROCKキチガイでドラムを自宅に買い込んで 、隣近所の迷惑も顧みず大音響でレコードをかけながら練習をしていた。

つまり、一と二は、ビジュアルサウンド的インバクトショックであり、三は半強制的な洗脳であるwww

俺はROCKが頭から離れなくなり、金があればレコードを買いあさり学校には30センチLPレコードを抱えて行き、仲間と貸し借りと情報交換をした。
「 ROCK音楽辞典 」たしか中村とうよう氏著を買い込んで文字通りボロボロになるまで読み込んだ。ビートルズ、ローリングストーンズ、レッドツェッペリンはおろか、未知のアーティストを模索した。 
中学では放送委員になり昼休みに勝手にROCKの好きな曲を放送して先生に大目玉をくらった。当時はまだ大人たちにはROCKは音楽と認められて無かったのだ。後日行われた昼休みにどんな音楽を流すべきか、と言うレポートに「ROCK  」「リズムANDブルース  」「 カントリーANDウエスタン 」「  ポップス」「演歌  」と書いて放送委員会担当の教師に提出したら、ROCKと演歌だけバツじるしがついて帰って来た。要するに教師どもは何も解ってなかったのだった(笑)
周りでも男はみんなエレキギターを持ち歩き、自分たちでも真似事を始めていた。

しかし、俺は高校に入ると新しいアーティストを模索するのはやめてしまった。
なぜ?
定かではないが、1975年頃ーからのROCKがつまらなくなったのだと思う。
アーティスト的に言うと、クイーンくらいからか?クイーンファンには申し訳ないが、あまりクイーンに魅力を感じない。実はあれ程好きだったローリングストーンズもアルバム「山羊の頭のスープ  」以降はあまり好きになれない。
それ以降の新しいグループにも惹かれなくなって行った。
評論家的に分析すると、ROCKにオリジナリティとアナーキィで暴力的な魅力が薄れて来たのを感じとっていたのかも知れない。少なくとも俺の中で。もちろん、それは違うと言う話は否定はしない。個人的問題だ。

さて、その後30年以上ROCKとはつかず離れずすごしてきたのだが
ある日、俺にROCKを叩き込んだ従兄がクラシックROCKのミュージックハウスを始めたと言うではないか!
クラシックROCKと言うのは黎明期から1970年代くらいまでのROCKだ。
俺は詳しい話は聞かなかったがピンと来た。これは彼にとって天職に違いないと。
そして開店2年目に店の近くに移り住んだこともあり、店に顔を出した。頑固者だが心の優しい人。働き者で男らしい人。俺が両眼を失明するかも知れないという時、遠くから涙をながしてくれた人。二十年ぶりの従兄は全然変わらず、まるで昨日別れたみたいに思えた。お互い二十年以上いろいろあったがそのギャップは一瞬にしてROCKが埋めてしまったのだ。

店は繁盛していて、常連客も新しい客も古い客も実に仲良くやっている。
普通のライブハウスと異なるのは、プログラムされたライブは月に二、三回で普段は客同士のセッションが中心だ。これが客同士の繋がりと排他的にならないのも理由と思う。
店にはフルアコ、セミアコ、エレキギター、ベース、ドラム、パーカッション、キイボード、アンプが揃っていて手ぶらで来て楽しめる。
曲はクラシックROCKが中心であるが、JAZZ、フォーク、ボサノバ、演歌まで自由にやっている。しかも、てんでバラバラと言うことはない。そしてみんなかなり上手い。この店で楽器に触れ、上達した客も多い。
ライブも客がプロデュースしてやる場合が多く、実に手際良く開催する。もう20回近く続いておるシリーズもある。
俺は残念ながら聞くばかりであるが、十分楽しめる。
みんなそれなりの年齢である。若い時に燃え、その後長い間くすぶり続けた何かが再び燃え上がったのだ。

昨年の秋に店は5周年を迎えたが、今年の初夏に従兄のマスターが体調を崩しで店は休業してしまった。常連客は難民となり他の店を彷徨いはじめた。だが、こんなことではいけないと、店の従業員、常連客ボランティアが限定的に店を開けた。案の上、客は待ってましたと押しかけた。そんな状態が三ヶ月程続き、ついに先週マスターが店に顔を出した。
思ったより元気そうであった。客のみんなに体を削って心地良い空間を提供して来たのだ、と一瞬思った。しかし、彼は違う。と言うと思う。客が自分を生かしているのだと。
おそらく、これはどっちが正しいと言う話ではない。お互いの心が通っているからだ。
こんなに人に愛されている従兄を誇りに思う。

俺の父親は85歳になるが、従兄の店の話をちょっときくと
「人を喜ばせる良い仕事をしている」と言った。我が親父ながら解る人は解るのだなと感動した。

これからは前と同じように営業できないかも知れないが細くとも長くROCKの店を続けて欲しい。

ローリングストーンズ 1969年アメリカンツアー。
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ミックジャガー
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映画「イージーライダー」
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ミュージックハウスPOP★ROCK
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