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逆襲シリーズ「1950年代生まれの逆襲」紹介


僕たちの世代の親たちが過酷で悲惨な戦前、戦中に幼少期に育ったが僕たち(僕が1958年生)は日本が裕福になりつつある高度成長時代に育った。
そして親たちは裕福な定年を迎え、悠々自適な暮らしをしている方たちがほとんどだ。

しかし僕たちは青年期に向かえたバブルの崩壊や親の世代の核家族化などのしわ寄せで中年以降は大変なことになったと被害者意識を感じてる。この被害者意識はもちろんどの世代にも言えることであるが今まさにこの時代がそうであるから自分たちが一番の被害者と考えてしまう。
そんな時に友人の経営する出版社からこの本が出版された。

簡単に紹介すると、
前半は、1950年代生まれが前世代の「団塊の世代」と次世代の「新人類」の狭間に生まれた1950年生まれから1959年生まれを「ベルエポック世代」と名づけ、その時代に翻弄されている現状を解説する言わば世代論。
後半は、時代に翻弄され、表面化された様々な精神的病理を分析する。
その上で現状の過酷な状況を踏まえつつも最後までいかに生き抜くか、のヒントを事例を中心にアドバイスしてくれる。
※「ベルエポック」とは「良い時代」と解釈してください。

あまり詳細に紹介すると本が売れなくなってしますのでご容赦を。

僕の世代はのほほんと育った。
幼少のころは高度成長期真っ只中であったので日本がまだ貧乏だったことが記憶にある。バナナは病気の時しか食べることができなかったし、とんかつは一番のご馳走で牛肉なんて食べたことはなかった。
しかし、父たちはモーレツに働き東京オリンピック、万博が開催されいつの間にか世界経済第二位となった。
僕らは「鉄腕アトム」や「ウルトラマン」を観ながら約束された輝かしい未来を信じていた。
しかも大学ではモラトリアムを決め込みサークル活動にうつつを抜かし、会社に就職できれば一生安泰と甘い夢を見ていた。
しかし、次第に日本の社会には暗雲が立ち込めてきた。
「バブル崩壊」「リストラ」「親の介護」「子供のニート化」などだんだんと状況は悪くなっていく。

高度成長時代に成長期を送った「ベルエポック」世代は逆境に弱い人間が多い。
僕自身、良く言えば大人しくあまり自分を主張せず、争いごとを好まない。悪く言えば、大人しくて人が良いだけの腰抜けというべきか。
よく若い人たちに「バブル世代」と揶揄される場面も多い。
確かに今の若い人はサバイバル精神は強いと思う。僕が同じ年代のころは思ってもいなかったことをやってのけている。そのことはまた考察したい。

僕だけの問題で言うと「配偶者」「子供」がいないから、その分の「災難」は免れるがその他のマイナス要素は一緒である。それに加え「孤独死」の可能性が加わる。

最後に、この「1950年代生まれの逆襲」はこの世代の置かれた状況を整理して認識させてくれ、夢見た幻想を捨て過酷な状況の中にも希望ある生き方を見つけるヒントを与えてくれる好著と言える。
このような書を企画、編集して世に出してくれた著者の福井次郎氏と言視舎の杉山尚次氏に感謝の意を送りたい。

「1950年代生まれの逆襲」
ベルエポック世代」の栄光と悲惨そして復活
著者・編者・訳者 福井 次郎
出版社 言視舎
http://www.s-pn.jp/archives/658
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