夜風のささやき

言霊 謎 狂気 廃墟 廃人

みどりちゃんの話

マクドナルドで、女子高生たちの会話を書き直した話を元に再構成しました。

クラスメイトのみどりちゃんは、とても太っていますが、可愛らしい太り方で笑顔が素敵な子でした。しかし、彼女には、癖というか変わった性質がありました。良くあることかも知れませんが、自分の好むものには何も惜しまないのです。

私の高校は、駅から学校まで、赤バス、青バス、黄バスという3台の通学バスがあります。私は自転車で通ってありましたたので利用しませんでしたが、みどりちゃんは毎日行き帰りとも青バスに乗っていました。生徒はどれに乗ってもいいのですが、みどりちゃんは青バスにしか乗りませんでした。
ところが、ある日学校でみどりちゃんがひとりさみしくうつむいて「 みんなはいいなぁ、青バスに乗れるんだもん 」とぽつんと言いました。
みどりちゃんは青バスのイケメンの運転手さんが大好きでバスに乗るたびに運転中でも話しかけたり終いには抱きついたりしていたので、運転手さんだけでなく、乗客の生徒たちも怖がり、安全上も問題になっていたそうです。それで我慢できなくなった青バスの運転手さんがリーダーの赤バスの運転手さんに泣きつき、赤バスの運転手さんがみどりちゃんに頼むから青バスに乗らないでくれと言ったそうです。そしてみどりちゃんはしばらくは大人しく他のバスに乗っていましたが一ヶ月もするとまた青バスに乗るようになりました。どうも運転手さんが変わったようです。みどりちゃんに運転手さん変わったの?と聞いたら、みどりちゃんが答えるに「あの運転手さん死んじゃった 」と泣きそうに言いました。
バスで通っている事情通が言うには、みどりちゃんは禁止されたあと青バスにこそ乗らなかったけれど、イケメンの運転手のうちを突き止めました。それで毎晩彼のアパートにケーキや料理を持って訪ねていたそうです。彼は部屋に入れませんでしたがある日彼の本当の恋人と鉢合わせになり、後はよくある成り行きで恋人は去り、彼は鉄道自殺したそうです。本当かどうかわかりませんが、みどりちゃんは彼の恋人に、自分と結婚する約束したと言ったそうです。
後任の青バスの運転手は前任者よりイケメン。またみどりちゃんは張り切って青バスで通学しているそうです。

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帰ってきたヨッパライ

お久しぶりです。

不思議なものを見ました。
昼過ぎに駅へ行く通りを歩いていると前から大声で歌いながら自転車に乗ったおじさんが来ました。
多分70歳過ぎだと思われますがすごく楽しそうに歌ってました。
「♫オラは死んじまっただ
オラは死んじまっただ〜♫ 」
50年近く前に流行った、帰ってきたヨッパライです。特に酔った風でもないのですが、とにかく大声です。道行く人たちは次々振り返ります。
オラは死んじまった、のフレーズだけではなく最初から最後までしかも3番までフルです。それが解ったのも遠くから聞こえて過ぎ去ってもしばらく聞こえたからです。繰り返し歌っていました。

歌いながら自転車漕いでる人はたくさんいますが、白昼、あれほどムキになって歌うのも違和感があります。
彼の心中はいったいどんなものだかとても興味があります。
それとも、僕の頭が暑さでどうかして幻視と幻聴だったのかもしれません。

帰ってきたヨッパライ

おらは死んじまっただ おらは死んじまっただ
おらは死んじまっただ 天国に行っただ
長い階段を 雲の階段を
おらはのぼっただ ふらふらと
おらはよたよたと のぼりつづけただ
やっと天国の門についただ


天国よいとこ一度はおいで
酒はうまいしねえちゃんはきれいだ
ワー ワー ワッワー


おらが死んだのはよっぱらい運転で
「アレーッ!」
おらは死んじまっただ おらは死んじまっただ
おらは死んじまっただ 天国に行っただ
だけど天国にゃ こわい神様が
酒をとりあげて いつもどなるんだ


「なあおまえ 天国ちゅうとこは
そんなにあまいもんやおまへんにゃ
もっとまじめにやれ」


天国よいとこ一度はおいで
酒はうまいしねえちゃんはきれいだ
ワー ワー ワッワー


毎日酒を おらはのみつづけ
神様のことを おらは忘れただ


「なあおまえ まだそんなことばかり
やってんのでっか ほならでてゆけ」


そんな訳で おらはおいだされ
雲の階段を おりて行っただ
長い階段を おらはおりただ
ちょっとふみはずし


おらの目がさめた 畑のどまんなか
おらは生きかえっただ
おらは生きかえっただ

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不思議な写真の話

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この写真は2008年5月に、島根県出雲大社の本殿真裏の摂社、素戔嗚社で私が撮影したものである。

いくつか、オーブと思わしき丸い玉が写っている。今年の7月にFacebookの神社ファンのコミュニティーに投稿したところ大変な反響を呼びいろいろな意見が交わされた。
カメラのメカニズム、雨などの水滴、レンズのゴミ、フラッシュの効果など科学的なものから、心霊現象、神の現れ、精霊の可能性などが囁かれた。科学的なものは詳しい論文まで引っ張りだされた。
 
しかし、この写真を撮影した時の状況は、雨も降っておらず、フラッシュもない。レンズのゴミはついていなかった。
カメラはキヤノンのIXYというデジタルカメラだった。
この時の天気は薄曇りで午後2時ころであった。出雲大社本殿では数年後の遷宮のため内部を拝観できるようになっており、大勢の人の長蛇の列になっていた。
 
しかしである。このコミュニティーでコメントを頂いた方から写真の中の社殿脇の木の間にひとがいると投稿があった。
私は今まで気がつかなかった。写真を拡大して当該箇所を見てみると、確かに男が半被みたいな物を着てこちらを見ている。
普通ならなんてことないが、この辺りは禁足地になっていて入ることは禁じられている。
この話でコミュニティーは大騒ぎとなり、炎上したのだった。
 
社殿脇左脇を拡大して色調を判りやすく調整した。
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私は過去にも心霊写真とおぼしきものを数枚撮っているが最近ではこれ切りである。
もちろん、オーブはなんらかの事象が偶然いたのかも知れないし、人間が禁足地にいたのかも知れない。
ある霊能者の話では、ここに写るのは間違いなくオーブであり、男は生きた人では無いとのことだった。

【追記】
拡大した写真を良く見ると、男の右下に小さい白い着物の女性らしき人がいるように見える。
右手を左胸に置き男と同じようなかっこうをしている。

上の写真をさらに拡大。
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霊界喫茶店 「本当に怖い話」3

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霊界喫茶店

 

今までいくつかの怪談は全部この喫茶店での噂話をきっかけとして起こったものだったが、やがてこの店でも心霊現象が起きるようになってきた。

この話はその中でも一番体験者が多く強烈なものだった。私はこの話をあるWEBの怪談サイトに投稿したところ番組「アンビリバボー」のスタッフから、ぜひ再現ビデオにしたいと要望があった。私はもう店もないが関係者は健在なので許可を取り、承諾をした。放送された番組は少し変わっていたが、下記にあるのはオリジナルの話である。


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東京の郊外の大きな団地の商店街にその喫茶店はありました。
 マスターとママが二人でやっていて近くに住む大学生や高校生でいつも賑わっていました。
 常連たちは昼間よりも夜の方が活動的で、マスターもママも取り留めもない話が好きでいつも夜中まで営業をしていました。当然、夜中にもなると怪談に花が咲き、夜遊びをして時には幽霊ツアーなども行われていました。
 店の壁には常連のカメラマンの作品で東北の自然と農村の風景を撮った数枚の写真を飾っていました。その中に井戸端で野菜を洗う農家のおばあさんの写真がありました。おばあさんの笑顔がとても良く撮れていたことを覚えています。
 ある日、そのカメラマンが店に来てこのおばあさん亡くなったんだよねとぽつんと言って帰りました。
その晩のことです。僕たち常連たちが三四人いつものように今日の夜遊びの相談をしていました。
だれかが「この写真のおばあさん死んだらしいぜ」と言いました。まただれかが「じゃあ今日はお弔いだ」と言って壁からおばあさんの写真をはずし黒いリボンで葬式の写真のようにしてしまいました。そしてカウンターに飾り残っていた常連で一人ずつお焼香の真似を始めたのです。そして最後の僕の番の時です。天井にかけてある大きなスピーカーから突然大音響で読経が流れて来たのです。もう店仕舞いをしていたのでステレオの電気は切ってあったはずなのに悪戯好きのマスターが仕組んだんだと思い、みな顔を見合わせて笑っていました。スピーカーの声は何十人ものお坊さんが読経をしているような荘厳な感じがしました。しかしマスターだけがきょとんとしています。「ステレオの電源だれかいれた?」アルバイトの男の子が見ると電源は入っていませんでした。読経はそれから十秒くらい続いて切れました。僕たちは背筋が凍り付きました。考えてみれば突然思いついた悪戯なのですからそんな仕込みをする余裕はありません。それにステレオの電源が入っていなかったのは全員見ていたのです。
 一体あれはなんだったのでしょう。
 僕が直接体験したその喫茶店でのお話はもう一つあります。
 夏休みのことでした。夕方、僕はその喫茶店から帰ろうとしたら夕立が降ってきたのでもう少しまとうと思いカウンターの一番出口に近い席に座りなおしました。店のピンク電話が鳴りました。マスターがいなくてママが忙しそうだったので窓際にある電話にでました。電話からは中年の男の人の声で「手塚さんのお宅ですか?」と言いました。「僕が手塚ですけれどもここは僕の家ではありませんよ」男の声は少し戸惑ったようですが「でもあなたが手塚さんなのですね」「そうですけれど」「私はK(大学のクラブの後輩)の叔父です。実はKが昨日から行方不明になっていたところ、今日溺死体で見つかりました」「え」「甥は宮崎に帰省していたのです。どなたか大学の知り合いに知らせようと思っていたのですが甥はずぼらで手帳に電話帳など書いていなくて困っていたのですがあなたの電話番号がメモ覧に書いてあったのでもしやと思い電話をしました。あなたは甥の大学での知り合いですよね」「クラブの先輩です」「そうですか。良かった。お手数ですがKを知っている人たちに知らせてくれませんか」「大学には知らせたのですか?」「ええでも大学は掲示板に訃報を出すだけでそこまではしないそうです」
 Kの叔父さんの声は冷静でむしろ事務的な感じがしましたが、とにかく僕はえらいことだと思い冷や汗をびっしょりとかいていました。そして僕は知っている限りの知人に連絡することを約束し通夜と告別式の日時を聞きとうりいっぺんのお悔やみを言い電話を切りました。
 偶然とは言え、たまたま夕立で雨宿りしていた喫茶に電話が掛かり偶然にも本人がでる。しかも偶然に見つかったメモを追ってかけてきた電話だった。確かに何人かにこの喫茶店の電話番号を教えたことがある。しかしKとは3学年離れておりそんなに話したことも無かった。本当に不思議なことだとママと話していたときです。店のステレオは音楽を鳴らしていましたが突然音楽は止み、人のすすり泣く声がしてきたのです。泣き声は男女入り交じっていました。そしてそれが数十秒も続くとまた音楽に変わりました。前の読経の件があっただけにまた店にいた人たちと顔を見合わせてしまいました。ただこの時は恐ろしいという感じでは無く本当に悲しい気持ちで一杯だったことを覚えています。
 この喫茶店のステレオは霊界につながっていたのでしょうか。