夜風のささやき

言霊 謎 狂気 廃墟 廃人

断片的な思い出 小2の作文集から5

昭和41年5月30日

  えんそく
          てづかはじめ

ぼくはてんらん山でさとうくんと、こいでくんとまいごになっちゃいました。やっと先生をみつけました。
そしてなぐり川でおにぎりを四つたべました、
それからバナナをたべました。
おたまじゃくしをとりました。
そしてけんぶつしていると川へおっこちそうになりました。石につまづいたからです。
リックからキャラメルをだしてたべました。それからでんしゃで金めだるをみせてもらいました。
おばあさんがきたら大さわくんがせきをゆずってあげました。
かえってからすこしやすみました。

<先生のコメント>
たのしいえんそくのようすがよくかけています。
<解説>
飯能のほうに春の遠足に行ったときのこと。
初めて作文に友人が出てくる。思い出してみるとバナナは当時はまだ高級品であり遠足か病気にでもならないと食べられなかったようだ。
今更ながら、この作文は50年近く前である。高度成長期真っ只中。今と真逆に近い社会状況であった。この後にオイルショックがあり、やがて1980年代のバブルへと続く。とにかく凸凹はあるものの安定した時代であった。僕たち世代の親は昭和一桁生まれの戦争体験者であり、小さい頃からさんざ戦中戦後の悲惨な生活を聞かされた。そして僕たちは幸福になって行くと輝かしい未来を「鉄腕アトム 」や「 鉄人28号 」に託して信じてやまなかった。しかし、今や僕たちの親は生まれた時は苦労したが、戦争て生き残った人たちはほぼ幸せな老後を送っているように感じ、僕たちは行きは良い良い帰りはコワイとなったと感じるのは被害妄想の甘えとも言えるだろうか?

f:id:drive58:20150218133324j:plain