夜風のささやき

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家族

うなぎと梅酒

私の祖母は明治35年生まれてしたが、私が中学校3年の夏に好物のうな重を食べた後にうっかり梅酒を飲み、悶え苦しんで亡くなりました。うっかり梅酒を飲んだというのは、昔からうなぎと梅原食べ合わせが悪いと云われていたのですが、それを忘れていたのです。…

断片的な思い出 小2の作文から 7

昭和41年6月20日 おとうさん てづかはじめうちのおとうさんはカメラマンで日よう日でも行くことがあります。ドライブにつれてってくれることもあります。ちいさいころはかけ足がはやくてがきだいしょうでした。一日ににさんかいかいしゃにいきます。あさはや…

断片的な思い出 小2の作文集から6 こうつうあんぜん

昭和41年6月7日 こうつうあんぜん てづかはじめ一 手をあげてとおる。二 キャッチボールをしているところ三 くるまが くるかどうかたしかめる。四 おうだんほどうをわたるときはくるまがとまってくれるからゆっくりとおる。五 けがをしないようにふざけてと…

断片的な思い出 小2の作文集から6 「本をよんで」

昭和41年6月7日 本を読んで てづかはじめアリババと四十人のとうぞくをよみました。アリババはふしぎなとびらをみつけました。その中には金やぎんがたくさんはいっていました。そしてはいってみたらだれかがしんでいました。「だれだろう」とアリババがいい…

断片的な思い出 小2の作文集から5

昭和41年5月30日 えんそく てづかはじめぼくはてんらん山でさとうくんと、こいでくんとまいごになっちゃいました。やっと先生をみつけました。そしてなぐり川でおにぎりを四つたべました、それからバナナをたべました。おたまじゃくしをとりました。そしてけ…

断片的な思い出 母とトウモロコシ

今回も母のエピソードである。小2時代の作文ではなく、半年前に書いたものだ。中国語教室の宿題に自由作文がある。毎回、日本文を書きそれを中国語に訳したものをニャンコ先生に提出し添削してもらう。その中に母の性格を物語るエピソードがあったのでそれを…

断片的な思い出 小2の作文集から

昭和41年5月16日 ぼくのおかあさん てづかはじめぼくのおかあさんはぼくががっこうからかえってくるとねてたり本をよんでいたりします。そしてまどのかぎをしめておきます。きゅうしょくがない日はすぐ、ごはんをつくってくれます。そしておとうさんがかえ…

断片的な思い出 小2の作文集から3

昭和41年5月7日 子どもの日 てづかはじめぼくは、おばあちゃんのうちに行きました。そして本をかってもらいました。ラーメンをたべました。そしてけいちゃんとさんぽに行きました。それからくるまでかえりました。そしてかぶとをだしました。よるになってテ…

断片的な思い出 小2の作文集から2

昭和41年4月25日 ドリームランド 手づかはじめぼくはドリームランドにいきました。せん水かんにのりました。ちんぼつせんやたからがみえました。そしておばけやしきにはいりました。はじめはくびつりおばけでした。そしてしょうじがパタとなって女の人がむき…

断片的な思い出 四 「幻の村山砦」

小説か映画のタイトルのようだがそうではなく現実の話だ。歴史上の話でもない。三年ほど前、不思議なことがあった。昔、東京の西にある狭山湖畔に「村山砦」という料亭のような変わった料理屋があった。湖畔の鬱蒼とした樹木の中にかがり火を焚いた門があり…

断片的な思い出 三 「鎌倉幼なごころ」

海水浴で民宿に一泊して木更津からフェリーに乗り川崎に渡ったその足で鎌倉の親戚を訪ねた。 鎌倉の小町通で眼鏡屋を営むおじさんであった。おじさんといってもどういうつながりの親戚だか定かではない。 初めて鎌倉を訪れた僕はその不思議な雰囲気に魅了さ…

断片的な思い出 二 「最初で最後の家族旅行」

小学校一年生の夏休み。父と母と僕は千葉内房に海水浴に行った。 父はこの年に免許を取ってスバル360に乗っていたのだった。初めての車旅行である。後にも先にも家族水入らずで旅行したのはこれが一度きりであった。 だけれど、障害がひとつあった。家の井戸…

断片的な思い出 一 「三歳の曼荼羅世界」

母が僕を背中に背負って台所脇にある、ガス風呂に火をつけている。 あのガス風呂特有の匂いを嗅ぐと必ず思い出す光景だ。 ガス風呂の匂いは都市ガスやLPガスの匂いとは違う。あのようなとってつけたような匂いではなく、ものが燃焼した乾いたような感じの…

「 家族 」「 記憶 」「時 」

年が明けて5日になった。正月はたいてい1人で過ごす。親兄弟、女房子供がいないので仕方がない。もっと若い頃は何かと世話を焼いてくれる女性や同じ境遇の友人もいたが皆所帯を持ったりして今は一緒に過ごすことはない。今年も年末年始は1人で過ごす。別に孤…

父とホンダN360の思い出。

15年ほど前に父の思い出の原稿を僕の親友の杉山尚次氏の手を経て「別冊宝島」に掲載したことがあります。もうすぐ12月14日、僕の誕生日です。55歳になります。僕には未だ家族はいないけれど、ここまで男手一つで育ててくれた父に感謝の気持ちをこめてここに…